星つなぎのエリオ ― 2025/08/06

「星つなぎのエリオ」 TOHOシネマズ日比谷 字幕
好きなことにまっすぐな少年エリオ、何光年も離れた遠い宇宙へ行ける日を夢見ている。理解者だった両親を亡くし、周囲に溶け込めず、寂しい気持ちを抱えている。星々のどこかに自分の居場所があると信じて毎晩空を見上げている。そんな彼の思いが届き、さまざまな星の代表者が集う「コミュニバース」に招かれる。心優しいエイリアンの子どもグロードンと出会い、親友になるが、世界を揺るがす脅威が迫っていた。
両親を亡くし、叔母に引き取られたエリオは、ちょっと問題児で、叔母のオルガも頭を悩ましている。宇宙に出て冒険を繰り広げるが、本当の居場所とはどこかを友情や家族愛を絡めて描いています。
話は王道ストーリーでしたが、ほっこりと良い話になっていました。一見不気味なグロードンがめっちゃ可愛かったです。目に眼帯をしているのは、一時的な怪我でした。
細かいところは説明不足なところもあるけど、絵がきれいでした。
★★★★☆ 4
私たちが光と想うすべて ― 2025/08/03

「私たちが光と想うすべて」 ヒューマントラストシネマ有楽町
インドのムンバイで働く看護師のプラバは、年下の同僚アヌとルームメイト。プラバは親が決めた相手と結婚しているが、夫はドイツへ働きに行って、ほとんど音沙汰がない。一方アヌはイスラム教徒の恋人がいるが、親には大反対される事がわかりきっている。親からは見合い写真が次々と送られてくる。都会で生きる2人は、人生のままならない状況の中で、悩みながらも支え合っている。そんな中、病院の食堂で働くパルヴァディが高層ビル建築のため、立ち退きを迫られていて、故郷である海辺の村へ帰ることを決断する。プラバとアヌは、ひとりで生きていくという彼女を送っていくことに……。
カンヌ映画祭グランプリ作品。現代のインドの空気感を感じる映画です。都会であるムンバイはガチャガチャとしています。真面目なプラバなだけに、結婚している事で、新しい出会いにも飛び込めないし、夫がどういうつもりなのか、わからないのです。仕事はしていて自立した女性なんでしょうが、生活も大変そうです。観ていても、あまり説明がないです。タイプの違う女性が同居していて、アヌがお姉さんみたいに呼ぶので、姉妹かと思ったらそうでもなく、プラバは仕事中もサリーを纏う衣装なので、動きにくくないのかなと思ったけど、着慣れていれば大丈夫みたいです。掃除などもしていました。いろいろな場面シーンがオシャレでしたが、手持ちカメラのガタガタとした揺れが気になります。
海辺の村へ行って、引っ越しや片付けを手伝って、ちょっとした事故もあり、不思議な体験でした。下の写真の海辺のバーみたいな所にが良いですね、
★★★★☆ 4

ババンババンバンバンパイア ― 2025/07/23

「ババンババンバンバンパイア」 丸の内ピカデリー
銭湯に住み込みで働く美青年・森蘭丸(吉沢亮)。その正体は450年を生きるバンパイア、銭湯の息子の15歳の李仁(板垣李光人)を慕いつつ狙っており、究極の味わいである「18歳童貞の血」を得ようと李仁の成長と純潔を見守る日々。ある日、李仁が同級生の葵(原菜乃華)に一目惚れ。李仁の恋が成就して純潔が失われるのを防ぐべく、童貞喪失阻止作戦に乗りだす蘭丸だったかが。
原作が漫画のこともあり、マンガチックにありえなさすぎて、笑えて楽しい映画だった。吉沢亮は長髪で、ちょっとメイクもしていて美しかった。歌ったりアクションもしたり、服まで脱いでくれて、サービスたっぷりです。
若き日の森蘭丸は、織田信長の寵愛を受けていて、エッあの森蘭丸がバンパイアになって現代まで生きていたのか。織田信長役は堤真一と言う豪華さ。銭湯が舞台なのも、のほほんとしていて良いね。板垣李光人くんも、森蘭丸に懐いていて、可愛い、15歳役でも違和感なく天真爛漫なピュアボーイでした。
「国宝」でシリアスな吉沢亮を見ていたから、こんな力を抜いて観れる映画もまた良いです。
★★★★☆ 4
アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 ― 2025/07/18

「アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓」 吉祥寺オデヲン
幼い頃にオスマン帝国でのアルメニア人迫害から逃れアメリカに渡ったチャーリー(マイケル・グールジャン)は、自身のルーツである祖国アルメニアを訪れる。しかしソ連統治下のアルメニアで、身に覚えのないスパイ容疑で逮捕・収監されてしまう。悲嘆に暮れるなか、牢獄の窓から近くのアパートの部屋が見えることに気がつき、そこに暮らす夫婦の生活を覗き見る。夫婦と同じ空間にいることを想像したり、夫婦仲がこじれていくのに、心を痛めたりするが……。
無実の罪を着せられたのに、誰かを恨むこともなく、労働と暴力に耐えながら、覗き見る夫婦のことを、心の頼りにして、一緒に喜んだり、悲しんだり、ついにはなんとか連絡を試みたりします。
アルメニアの歴史や、大変さが伝わってきました。コウノトリが牢獄の近くに住んでいて、日本ではあまり見かけないけど、結構大きい鳥で近くで見ていました。アルメニアでは多分有名なアララト山は、雪を被っていて、ちょっと富士山に似ています。はじめの方にアララト山の絵も出てくるのだけど、横に鳥が舞っていて、私には富士山と鶴に見えました。横山大観の絵かと思いました。その鳥はコウノトリの絵だったみたいです。
主人公が落ちてきた卵を受け取るシーンがあるのですが、まさか温めて育てるのかと思ってら、そんなことはなく、どうなったのかは不明です。
チャーリーを演じるマイケル・グールジャンが良いキャラクターで好演と思っていたら、この人が監督で脚本も書いているのです。とても良かったです。良かったけど、辛くせつない映画でした。無実なのに。1つの出会いで、運命が変わってしまったというか。しかし、彼の選ぶ行動で気持ちを推測しています。
★★★★☆ 4+
スーパーマン ― 2025/07/13

「スーパーマン」 TOHOシネマズ日比谷
人々を守るヒーローのスーパーマン(デヴィッド・コレンスウェット)は、普段は正体を隠し、新聞記者として働いている。ピンチに颯爽と現れ、超人的な力で活躍するスーパーマンは、誰もが憧れを抱くものだった。スーパーマンの正体を知る恋人(レイチェル・ブロスナハン)もいる。しかし、スーパーマンと敵対する富豪であり天才科学者のレックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)により、スーパーマンは世界の脅威であり、侵略者だと世間に流布される。囚われたり、非難されたりしながらも、ルーサーによる本当の人類の危機を知り、再び立ち上がる。
「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン監督なので、スタンダードなヒーローものとは違うのではないかと思って観に行きました。確かにちょっとひと味違うスーパーマンでした。スーパーマンが預かっているという犬のクリプトも、活躍します。スーパードッグなんだけど、ヤンチャ過ぎて、凶暴でした。しかし、無邪気でかわいかったです。
スーパーマンの正体を知っている同僚である恋人がいるのは意外で、はじめは知らず、助けられてはじめて知るというのが、王道のストーリーかと思いました。スパイダーマンも、はじめはそうですよね。
あと、グリーン・ランタンなどのほかの超人が出てきて、一緒に戦うけど、仲間という感じでもないのです。ちょっと説明は少なかったです。ジェームズ・ガン監督らしく、シリアスではなく、ポップなところもあって、楽しめました。
★★★★☆ 4
ルノワール ― 2025/07/10

「ルノワール」 TOHOシネマズシャンテ
1980年代。11歳の少女フキ(鈴木唯)は、両親と3人で郊外に暮らしている。ときに大人を戸惑わせるほどの豊かな感受性を待ち、得意の想像力を膨らませたり、マイペースなフキ。のぞき見る大人の世界は、複雑な感情が混じり合っていて、フキの日常を揺らしていく。闘病中の父と仕事に追われる母(リリー・フランキーと石田ひかり)、フキの日常が綴られていく。
何げない風景も、映像がスタイリッシュです。時に突飛な行動をしてしまう主人公が魅力的でした。まだ大人ではないけど、もう子どもではない少女。無垢だけど、大胆な行動をとってしまうこともあり、ハラハラします。
監督の前作「PLAN75」とは違った雰囲気でしたが死を見つめるという点は、共通なのかもしれません。時代背景が監督の子ども時代なのか、超能力ブームや伝言ダイヤルなど、懐かしさがありました。古めかしくはなく、昭和っぽさ良いですが、現代風なところもあります。脇に出てくる中島歩、河合優実、坂東龍汰が、すごく良い味を出しています。面白かったです。
タイトルをどうしてルノワールにしたのか、ルノワールの絵は出てきましたけど、意味するところは、私はよくわからなかったです。好みは分かれるかもしれないけど、私は良い映画を観たなあという気分で映画館を後にしました。
★★★★☆ 4+
国宝 ― 2025/07/07

「国宝」 TOHOシネマズ日比谷
任侠の一門に生まれた喜久雄(吉沢亮)は、15歳で天涯孤独になった。才能を見いだされ、歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られる。半二郎の跡取り息子・俊介(横浜流星)と親友であり、ライバルとして芸を磨いていく。しかし、あるきっかけが、2人の運命を揺るがしていく。
アニメ以外の日本映画でこんなに大ヒットしているのは久しぶりではないでしょうか。観てみたら絶賛されている理由がわかりました。吉沢亮と横浜流星とどちらも素晴らしかったです。大河ドラマのように長い生涯を描いています。15歳の頃は別の役者ですが、喜久雄の少年時代は黒川想矢。「怪物」の子ですね。その父役は永瀬正敏、冒頭からビックリするシーンが続きました。因みに原作は未読なので、どうなっていくのかと興味津々でした。上映時間は2時間55分でかなり長いです。思ったより歌舞伎のシーンもじっくり見せてくれました。この映画をきっかけに歌舞伎に興味を持つ人が増えそうですね。私は舞踊家である田中泯さんが演じている人間国宝の女形役を見たかったのです。歌舞伎も他のシーンもさすがです。
長い年月の話なので、省略されているシーンも多いでしょうが、うまくまとまっていると思いました。でも辛く厳しいシーンが多いので、私としてはそんなに何度も観ようとは思えないです。2人とも綺麗でしたし、すごく努力したのだろうなぁと思います。切磋琢磨しながら、芸に身を捧げていく、多くの壁がありますが、歌舞伎とともに成長や人間ドラマを見る事ができました。
★★★★☆ 4+
かたつむりのメモワール ― 2025/07/01

「かたつむりのメモワール」 TOHOシネマズシャンテ
幼い頃から周囲になじめず、孤独を抱えて生きてきた女性グレース。学校のいじめっこから守ってくれた双子の弟ギルバートは、遠くの里親に引き取られ、かたつむりを集めて、寂しさを埋める日々。しかし、個性豊かな人たちとの出会いを通して、希望を見出していく。
オーストラリアのクレイアニメーション。とても感動しました。でも全体のほとんどの部分が辛い事が多いのです。双子の出産中に亡くなってしまったママ。里親のもとで、辛い思いをしているギルバート。やっと幸せに巡り合った時思ってもすり抜けていく。良かったのは陽気なお婆さんピンキーに出会ったこと。結構ぶっ飛んだ人だけど、年齢差がありながらも、友情を育んでいきます。ブラックな事も多いので、子どもが観るものではありません。大人のためのアニメーションでした。訴えたい事が伝わってきます。閉じこもりがちな大人にエールを送る映画でした。
★★★★☆ 4+
フォーチュンクッキー ― 2025/06/29

「フォーチュンクッキー」 ヒューマントラストシネマ有楽町
カリフォルニア州フリーモントのフォーチュンクッキー工場に勤めるドニヤ(アナイタ・ワリ・ザダ)は、アパートと職場を往復するだけの日々。母国アフガニスタンの米軍基地で通訳として働いていた彼女は、そこでの経験から不眠症に悩まされていた。ある日、フォーチュンクッキーに入れるメッセージを書く仕事を任されることになった。ドニヤは、新たな出会いを求めて、その中の一つに特別なメッセージを紛れこませる……。
モノクロ映画で、主役がアフガニスタンの人ということもあり、あまりアメリカ映画っぽくなかったです。フォーチュンクッキーって、このように作られているのかと興味深かったです。若く美しいドニヤだけど、複雑な背景があるようです。同僚、ご近所、心理療法、いつもご飯を1人で食べに行くお店、オフビートな雰囲気で、セリフが独特です。ユーモアがあって、面白かったです。予想とは違った方向に進みました。そこもまた良き。
ポスターに出ているダニエル役のジェレミー・アレン・ホワイトが、力が入ってなくて、素敵でした。
★★★★☆ 4+

来場特典でフォーチュンクッキーをいただきました。
JUNK WORLD ― 2025/06/27

「JUNK WORLD」 TOHOシネマズ錦糸町楽天地 字幕
はるか昔、人類は地上の生息域減少により地下開発を進め、その労働力として人工生命体マリガンを創造した。しかしマリガンは自らクローンを増やして人類に反発。第3次停戦協定から230年後、人類は地上に留まり、地下世界はマリガンが支配していた。地下世界に異変が起こり、人間とマリガンによる調査チームが派遣される。女性隊長トリスと、クローンのオリジナルであるダンテ率いるマリガンチームは、ともに地下都市へ。途中、マリガンのカルト教団に襲撃される。激しい攻防の中、次元の歪みを発見し、トリスの護衛を務めるロボットのロビンは彼女を守るため、次元を超えた作戦に乗り出す。
ストップモーションアニメ「JUNK HEAD」のシリーズ第2弾。楽しみにしていました。「JUNK HEAD」より1042年前の世界が描かれています。
字幕と吹替での上映があり、字幕にしたのですが、ゴニュゴニユと話す言葉が、いろいろな日本語が混ざっていて、内容とは別に気になって気が散るのですが、なんだか面白かったです。トリス隊長たちの話はドイツ語っぽい雰囲気でしたが、言っていることは全然違うのです。立場によってイメージの違う話し方がありました。吹替もどんなのだろうと気になります。
前作は深い地下世界で、埃っぽい暗い世界だったけど、今作はクリアで明る勝ったです。クリーチャーといったら良いのか、不気味だったり、可愛かったり、お色気があったり、ヘンな動物や人間が出てきて、それだけを見ていても楽しかったです。
同じ話を幕ごとに違う視点から描いたりして、複雑な多重構造でしたが、そうだったのかと納得したり感心したり、壮大な話になっていました。
早く次の映画も観たいです。
★★★★☆ 4+

来場特典で、ステッカーをもらいました。
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